大学授業料の値上げ

 私立大学は年間で約96万円かかります。国立大学は文部科学省の省令で、標準額が53万円5,800円と定められており、この20年ほど変わっていませんでした。東京大学では2025年度入学者から、学部生を対象に、上限の64万2,960円まで引き上げました。修士課程についても4年後に引き上げる予定です。一橋大学や千葉大学など、7つの大学が標準額を上回る授業料を設定しています。

 大学の運営にかかるお金が増えています。少人数ゼミなど学生へのきめ細かい教育をするために、教員を確保したり、十分な設備を整えたりする必要があります。クーラーの使用などで光熱費が増え、最近は物価も上昇しています。国立大学協会では、教育研究活動を支えるための運営交付金の減額などで、国立大学を取り巻く財務状況が悪化しています。

 OECDの大学や専門教育機関などの高等教育の費用負担をみると、日本では全体の51%を家計が負担しています。家計負担の割合は、英国も56%と高いのですが、米国は38%、韓国は36%、フィンランドではゼロです。OECDの平均は19%です。わが国においては、経済的な困難を抱える高校生を対象にした返済不要の給付奨学金が2017年度に導入され、その後も制度が拡充されてきています。2025年度からは、子どもが3人以上の世帯では大学などの授業料や入学金が無償になっています。

(2025年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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