大学病院医師の時間外労働

文部科学省の調査によれば、2024年4月から病院などの勤務医の時間外労働に上限を設ける制度を巡り、上限を延長する特例の申請を予定する大学病院の医師数が、全体の3割に上っています。約9割の大学病院が、規制に伴い研究や若手育成に影響が出ると回答しています。担い手が不足する地域医療と、医師の健康や労働意欲を維持する環境づくりの両立が求められます。
2019年の働き方改革関連法の施行を受け、勤務医は生命に関わる職務上、一般の労働者から4~5年遅れて、医師の働き方改革が始まり、2024年4月から時間外労働の上限が原則年960時間に設定されます。月平均に換算すると80時間になります。地域医療や救急医療に従事する医師などは、年1,860時間に引き上げる特例も都道府県申請できます。調査した大学病院の計約5万1,000人の医師のうち、2022年11月時点で特例申請を予定するのは、約1万5,000人と3割近くに達しています。
予想される影響については、研究時間の確保ができなくなり成果が減少するが90.1%で最多でした。次いで若手医師などを養成する臨床教育について、質の低下が生じるが88.9%でした。大学病院は教育、研究の役割も担います。医療の発展につながる研究や人材育成を継続できるようにする必要があります。

(2023年4月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。