2017年度の大学発ベンチャーの設立数は合計で137社と、2016年度に比べ1社しか増えていません。大学発ベンチャーの創出意欲は依然高いものの、設立数は頭打ち傾向となっています。大学発ベンチャーの累計設立数では、京都大学の164社が最も多く、大阪大学の138社、筑波大学の137社が続いています。100以上と回答したのは九州大学を加えた4大学のみです。
大学発ベンチャーの創出は、政府の成長戦略の一つです。国立大学が研究成果の事業化を後押しできるよう出資を認め、大学のベンチャーファンドが次々と立ち上がっています。起業家育成では、専門の履修コースやプログラムを提供するなど、大学が教育の一環として主体的にかかわるようになってきています。起業意欲の高い大学がある一方、大学ごとのベンチャー設立数を見るとかなり偏りがあります。今後の見通しでは、「積極的に設立、または支援していく」が33.8%、「優れた案件があれば、出資も検討する」が18.5%です。半数以上の大学がベンチャー創出に意欲があります。
(2018年11月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)