大学院教育の拡充

 日本は研究力の低下に喘いでいます。文部科学省の科学技術・学術政策研究所の最新調査によれば、研究論文の影響力や評価を示す注目論文の世界順位で日本は13位です。2006年に中国に抜かれて4位から5位に転落し、徐々に低下してきました。背景に一つに博士離れがあります。少子化にもかかわらず、大学入学定員が増加する一方で、大学院への進学率は11%前後で推移し、伸び悩んでいます。

 博士課程の入学者は、2023年度に1万5,014人とピークから2割程度減っています。博士号の取得者数は、人口100万人あたりで日本は2021年度に126人で、英国やドイツなどの4割前後にとどまっています。

 文部科学省は研究力が高い大学について学部の定員を縮小し、大学院への振り向けを促す方針を固めています。急速な少子化を踏まえて学部の規模を適正化しつつ、大学院教育を拡充し、博士号取得者を増やすとしています。教員が研究により注力しやすい環境を整え、国際競争力の向上を狙います。

(2024年12月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です