大都市圏への人口集中

1950年代から60年代にかけて、戦後のベビーブームで誕生した団塊の世代が、集団就職で製造業の盛んな東京、大阪、名古屋の3大都市圏に流れ込んできました。出生率の低下が深刻化し、国内人口が減少に転じたのは2008年のことです。大半の地方は人口減少対策が課題となっています。しかし、東京都や神奈川県などは、今も人口が増え続けています。特に東京の増加率は高く、最近20年間で200万人増え、今年5月には初めて1,400万人を突破しています。
サービス業やICT系など、若者に魅力的な企業は東京圏に集中しています。大学も東京に集中しており、大学進学率が上昇するに従って、進学を機に地方を出る人が多くなっています。人口減少には、死者数が出生数を上回る自然減と、就職や進学などで人口流出する社会減があります。現在地方で深刻化している人口減少は、社会減よりも自然減による要因が大きいとされています。
移住の促進は、短期的には若い人口を増やす効果がありますが、地方の長期的な人口減少に歯止めをかけるものではありません。地域が知恵を振り絞って、若者が希望する魅力的な進学先や就職先を増やし、地方への移住・定住を促していくことがなければなりません。そのための第一歩は、子どもを産み育てられる環境の整備です。

(2020年8月8日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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