日本では結婚した時、ほとんど9割以上の女性が夫の姓を選びます。しかし、働く女性を中心に、姓が変わることに不都合を訴える意見には根強いものがあります。夫婦別姓を認めない日本の民法規定について、最高裁は、昨年末に同規定を合法とする判決を出したばかりです。しかし、その決定に対して国連が3月上旬に見直しを求めています。国連の勧告によれば、女性は選択肢を持たなければならないとしています。男女平等を確かなものにする一例として、国連の女子差別撤廃委員会も同様に女性に選択肢をという明確な立場をとっています。
世界で多くの女性が夫の姓を選んでいることは事実ですが、法律で強いることは別問題です。基本的に女性に選択肢がなければならないと思います。専業主婦願望が強い女性や、一般の男性にとって、夫婦同姓こそ当たり前だという意識に強いものがあります。しかし、自立して働く女性にとっては、結婚後の名前の変更は煩雑さだけではなく、自分が自分でなくなるというアイデンティティーの喪失感にもつながることがあることを男性も認識すべきです。
(2016年3月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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