夫婦別姓を考える

 最高裁判所大法廷は、201512月に夫婦別姓をめぐる判決で、夫婦同姓の制度は社会に定着しており、家族の姓を一つに定めることには合理性があると述べています。民法の規定は最高裁判決が確定しているため、わが国においては選択的夫婦別姓は認められないことになっています。現実には妻が改姓する割合が高く、近年不利益が増していることは認めつつも、旧姓の使用が広まれば一定程度は緩和できるとしています。
 日本人と外国人の結婚や離婚、日本人同士の離婚では姓を選べますが、日本人同士の結婚だけ、姓を選ぶ規定がありません。最高裁の判決では、制度のあり方は国会で議論すべきであると述べています。その判断は正しく、立法府で決めるべき問題です。改姓することによる不利益は、多くの場合女性が被っています。別姓を認めると、家族の絆が弱まるとか、これまでの伝統が壊れるとの指摘が多くみられます。しかし、多様性を認める観点からも、別姓と画一的に決めるのではなく、選択制を取り入れるべきです。

(2017年12月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。