女性が社会でもっと活躍するためには

海外では要職を務める女性が多くなっています。役員の女性比率はフランスで37%、英国は27%に達しています。これに対して日本は3.4%と、主要7カ国で最下位です。最高経営者(CEO)では0.4%しかいません。結婚や出産を理由に仕事を離れる人が多かった昔に比べ、働き続ける人は増えています。今年6月、初めて3,000万人を超え、働く人全体の45%を女性が占めるようになりました。しかし、待遇が正社員より落ちる派遣社員やパートなど非正規の立場で働く人が56%を占めていて、男性の2倍以上もいます。組織でトップになるよう期待、育成されている女性は、男性と比べて限られています。
わが国においては、男性が外で働き、女性が家を切り盛りするという性別役割分担の意識が根強く残っています。共働きの家庭でも夫の家事育児時間は平均46分なのに対して、妻は4時間54分と6倍を費やしています。正社員でも育児休業を取ったり、短時間勤務で働いたりするのは女性の方が圧倒的に多くなっています。こうして家事育児負担の多くが女性に固定化してしまっています。
男性だけでなく女性の意見も吸い上げられる組織の方が、多様な視点が入って変革が起こりやすくなります。人口はこれから急減していきます。人口の半分を占める女性が力を発揮しないと、社会の活力を維持できません。世界経済フォーラム(WEF)が発表した2019年度の世界競争力では、日本は2018年度から1位下げて6位になりました。転職や再就職がしにくく、女性の労働参加が不十分な点などを課題としています。まずは各家庭で男性が家事育児に主体的に関わることが必要になります。保育所整備といった子育て支援サービスも充実させ、女性が仕事に打ち込める環境をつくることも欠かせません。時間や場所に縛られない柔軟な働き方を広げることも重要です。女性を特別扱いするのではなくて、男性も含めて改革を進めることで働きやすさが増し、女性の活躍を後押しすることになります。

 

(2019年11月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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