欧米では、約10年前からフェムテック関連の起業が活発になっています。携帯型の母乳搾乳機や、痛くない乳がん検査機器、卵子凍結サービスの開発など幅広い分野に及んでいます。世界の関連市場は、2025年に500億ドル(約5.5兆円)規模になると予測されています。次世代型の生理用品やオンラインによる相談、診療システムなどが登場し、国内でも普及に向けて企業や国などの取り組みが活発になってきています。
昨年10月に、自民党にフェムテック振興議員連盟(野田聖子会長)が発足しています。商品、サービスの質や安全性の基準を示せるよう、厚生労働省や関連企業と協力して審査基準を設けることを目指しています。生理や妊娠、更年期のケアという、政治の場で語られることの少なかった課題に取り組むことにしています。
経済産業省のアンケート調査によれば、52%が女性特有の症状によって仕事の場で困った経験があると回答しています。こうした症状や妊活、妊娠、出産によって、仕事の目標を諦めなくてはならないと感じた人も43%いるとされています。フェムテックという言葉は、2010年代に欧州の企業家が提唱し、欧米を中心に取り組みが広がりました。
フェムテックは、女性が言い出しにくい生理や妊娠、不妊、更年期に伴う不調や悩みに対応し、生活の質を高めていくことが目的です。
(2021年5月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)