女性の発達障害は発見が遅れがちになりやすいとされています。診断基準も男性の症例が多く、女性の研究は遅れています。幼少期では、多動など発達障害にありがちな行動は、男子によくみられます。一方、女子は言葉の発達に遅れがないことが多く、ある程度のコミュニケーションが成立してしまいます。発達障害を抱えていることに周囲が気づきにくいことがあります。
問題が顕在化するのは思春期以降が多いとされています。しぐさや表情が読み取れず、あいまいな話が理解できずに仲間外れにされます。メンタル面の不調が体調不良につながり、病院を受診した時には不眠など心身のバランスを崩していることが多くなります。
異性トラブルのリスクもたかまる自閉症スペクトラム症(ASD)は、言葉の裏表を読むのが苦手です。性的な被害に遭わないよう注意が必要です。親になって子どもに適切な対応ができず、育児放棄を疑われることもあります。注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、衝動性が強く、感情が爆発しやすくなります。子どもを叱り過ぎて虐待を疑われる人もいます。必要なことは、特性を理解して周囲の協力を得て、特性を良い方向に生かすことが大切です。生活環境を調整したり、行動パターンを見直したりして、特性に合った生き方を選ぶことが必要になります。
(2019年9月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)