非財務情報が市場の評価につながりやすくなっています。2023年3月期の有価証券報告書(有報)で女性管理職比率が高い企業では、PBR(株価純資産倍率)が高い傾向があることが分かりました。女性管理職比率は、PBRが1.5倍以上の478社で平均14.2%あり、全体平均の9.3%より高くなっています。逆にPBRが1倍未満の1,088社は、平均が7.2%でした。
男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の比率を示す男女賃金差でも、同様の傾向が見られています。比率が高いほど差が小さいことを示しています。PBR1.5倍以上の458社の平均は69.3%で、全体平均の66.8%、PBR1倍未満の1,114社平均の65.8%をともに上回っています。
人的資本は、知的財産やノウハウ、技術など無形資産を生む源泉の一つとされ、投資家の期待も高くなっています。高PBR企業は、無形資産を経営資源とする企業が多く、女性の活躍余地が大きくなっています。
(2023年7月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)