政府の内閣人事局の調査によれば、2018年段階で霞が関の各省の課長・室長相当の管理職で女性の割合は約5%です。政府は、社会全体で指導的立場に占める女性の割合を、2020年までに30%とする目標を掲げていますが、霞が関は依然として男性職場が続いています。
2019年度の国家公務員総合職の合格者数が公表され、総合職の合格者の女性の割合は4年連続で過去最高を更新し、31.5%と初めて3割を超えました。係長級は2割を超えましたが、管理職になると女性の割合は減ってしまいます。いま50歳前後の世代は採用時から女性が少なかっただけでなく、離職した人も多くなっています。
採用は既に3割を超えました。問題は女性の離職率を抑えることです。深夜から未明までの国会答弁の準備など、霞が関独特の過酷な働き方を変えていかなければ、女性が避ける男性職場になり続けてしまいます。朝から晩まで働かなければ、官僚は一人前とみなされない状況にあります。子育てなどで時間に制約のある女性は、枢要なポストで働き続けることは難しくなってしまいます。
女性の働き方を考えることは、男性の働き方を考えることでもあります。国民の半分は女性であり、さまざまな意思決定に女性も関わるべきです。働き方改革で得をするのは、女性だけではありません。職場環境が改善した時に恩恵を受けるのは子育て中の女性だけではなく、働き方改革は子どもがいるかいないか、性差、世代を超えてメリットがある問題です。
(2019年8月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)