女性キャピタリスト育成の道

日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)は、12月末までに女性や外国人などが幹部に占める割合の数値目標を立て、実現のための具体策を策定するとしています。日本のVC業界は、日本人男性のキャピタリストを中心に有望スタートアップの情報を交換し、投資先が決まる内向き体質と指摘されてきました。ファンド運営や投資の意思決定を担う幹部層は、日本人男性が9割を占めています。
日本経済新聞の主要VC調査によれば、企業の66%が社内に女性キャピタリストがいると答えています。女性キャピタリストがいないと回答した30%を大幅に上回っています。一方で、社内キャピタリストに占める女性の割合は、10%未満が39%と最も多くなっています。成長途上のスタートアップは、経営環境が短期間で大きく変化しやすく、女性キャピタリストが出産や育児で仕事を離れる間に、担当する投資先企業の状況が一変する可能性もあります。こうした不安を払拭するための仕組みづくりが必要となります。
多様な人材で活動することで、投資できる領域が広がります。VCが多様化を実現すれば、有望企業を幅広く発掘できる可能性は高まります。近年は、女性の健康や暮らしに関する課題をテクノロジーで解決するフェムテックが広がってきています。こうした新領域の価値を見極める目利きがいれば、関連スタートアップの成長を後押しできます。VCが多様な人材を呼び込む重要性は高まっています。

 

(2023年11月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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