厚生労働省の調査によれば、医療機関で働く2016年末の女性医師数は6万4,305人で全体の21%です。しかし、男女比は、年齢層が若いほど女性の割合が高く、29歳以下は35%、30代は31%を占めています。20年前と比べると29歳以下も、全世代でみても8ポイント高くなっています。産婦人科においては、30代前半までの若手医師の3分の2以上を女性医師が占めています。女性には、妊娠・出産など男性と異なるライフステージがありますが、女性に働いてもらわなければ医療現場は立ちゆかなくなってしまいます。
日本の医療を支えるために女性の活躍は不可欠であり、復職支援や働き続けやすい環境づくりが急務です。最近では、遅れていた女性医師のキャリアと出産・育児との両立を後押しする動きが広がっています。子育てや介護中の医師らにキャリア支援制度を提供し、定員と別に応募医師を配置します。それにより、勤務時間や頻度が比較的自由になります。制度利用後は大学病院で常勤復帰したり、地域の病院に就職したりします。働き方改革も進んでいます。ママさん医師が活躍中の小児科では、土日にしっかり休めるよう体制を整備している病院もあります。妊娠・出産・育児により離職した女性医師に対し、再研修―復職プロジェクトを提供している病院もあります。
(2018年1月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)