企業の経営幹部層に、生え抜きの女性社員の登用が進んでいます。どのような経験が自分の成長に役立ったのかを聞くと、他部門への異動が28.2%でトップでした。日本経済新聞の上場企業の女性役員の意識調査によれば、昇格といった評価だけではなく、新しい仕事や同僚・上司と触れ合う機会が増えたことが内的な成長を促したとみる人が多くみられます。
役員に就けた理由は、経験がトップで32.6%、実績が31.8%、能力が8.5%と続いています。経験や能力に自信を持つ女性がいる一方で、女性の昇進を阻む理由として、女性本人の自分に対する自信のなさを挙げている人も、19.3%と5人に1人に上っています。
立ちはだかるのは、男性中心の組織文化や人間関係、いわゆるオールド・ボーイズ・ネットワークの存在です。女性の昇進を阻む理由の1位に挙がっています。男性中心の古い価値観や企業風土が、女性を過剰に萎縮させたり疎外感を与えています。企業側が考える女性の昇進を阻む理由のトップは、家事や育児の負担が女性に偏りがちな社会構造です。
目には見えないアンコンシャスバイアスや男性中心の因習的な風土を払拭することが、ダイバーシティー経営を進化させる必要条件になります。
(2023年3月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)