今年は、政府を中心に女性活躍への機運が高まった年でした。企業に対し、女性登用への取り組みを促す女性活躍推進法が成立しました。女性活躍推進法の成立の背景には、労働力人口が減少し、経済成長を続けるためには女性の社会進出が不可欠となっている現状があります。安倍政権は、女性の活躍推進を成長戦略の柱に掲げ、2020年までに指導的地位に占める女性の比率を30%に増やす目標、2030を掲げています。
従業員301人以上の大企業は、女性登用などに関する自社の現状を分析して、4月までに今後の数値目標を盛り込んだ行動計画を策定しなければなりません。各社の現状や数値目標が公表され、業界横断的に比較できるようになります。会社ごとの目標は、就職活動中の学生らが注目するはずであり、むしろPRの機会ととらえて戦略的に行動計画を策定する企業もでてくることが予想されます。
一方、妊娠、出産を理由に職場で不当な取り扱いを受けるマタハラの被害の実態も明らかになってきています。厚生労働省のマタハラ実態調査によれば、正社員の2割異常、派遣社員では半数もの女性が、マタハラを経験しています。妊娠、出産、育休明けから1年以内の降格や雇い止めなどを、原則違法とみなすとの通達を全国の労働局に出しています。
今年は女性の権利を巡っても様々な動きがありました。最高裁は、女性にのみ6か月の再婚禁止期間を定めた民法の規定を違憲と判断しました。しかしながら、民法の夫婦同姓規定は合憲としています。わが国では、現在女性が改姓する夫婦が圧倒的に多いとされています。女性に活躍の場を与えるために、夫婦の別姓を認めるような社会的機運を高めることも大切となります。
(2015年12月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)
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