海外勤務を希望する女性が出産や子育てなどと駐在生活を両立できるよう、企業などが様々な支援策を実施しようとしています。従来の制度設計では駐在者が男性や独身者であることが前提になっていました。海外拠点を抱える日本の組織は、多様な人材の活躍を後押しできるような対策が求められています。
伊藤忠商事は、社員の海外駐在期間中の卵子凍結の保管費用を補助する制度を始めています。選択肢が増え、働き方改革に向けた会社の姿勢が分かるとして、社員からは歓迎の声が上がり、早くも利用が広がっています。補助は駐在員の女性だけでなく、男性駐在員の配偶者が日本にいる場合も対象です。
会社の制度への要望で多いのは金銭面の支援です。子どもを預ける学童やシッター、親族の帯同、一時帰国に対する費用補助が不足している場合が多くなっています。配偶者帯同の場合のみ家族手当が出るケースが多く、子どもの帯同への補助を求める声もあります。海外勤務を望みつつ、出産・子育ての時期が重なった場合に仕事と両立できるか、不安に思う女性は多く、卵子凍結やシッターの補助などの制度があれば一歩踏み出す勇気につながります。
(2025年2月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)