女性活躍推進法の改正

 企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が成立して2025年で10年になります。企業に行動計画の策定を義務付けて格差の是正を目指したものの、女性の管理職はなお少なく、長時間労働のほか、家事・育児の負担の偏りも要因となっています。政府は同法を改正して、女性登用の拡大を狙っています。

 改正案では、男女の賃金差を公表する義務の対象を従業員数101人以上の企業に拡大します。2022年から301人以上の企業に義務づけていました。対象企業は1.7万社から5.1万社に広がります。従業員数101人以上の企業には、管理職に占める女性比率の公開も義務づけます。女性の健康課題への取り組みも企業の行動計画に盛り込むよう促しています。

 政府が法改正を目指す背景には、女性の登用が想定どおりに進んでいないことがあります。フルタイムで働く女性の賃金は、男性を100とすると78.7にとどまっています。女性活躍推進法が成立した2015年の74.3から大きな改善はみられていません。OECDの平均は88.6です。政府は賃金格差の主因は女性管理職が少ないことにあるとみています。管理職に占める女性の割合は、2023年に14.6%にとどまっています。女性活躍推進法成立前の2014年には11.3%で、大きな改善はみられていません。内閣府によれば、米国、フランスでは約4割、ドイツでも約3割を女性が占め、日本は見劣りしています。

 労働政策研究・研修機構によれば、日本は週49時間以上働く人の割合が2022年に15.3%を占めています。G7の中で最も高く、働き方を見直し生産性を高める努力が欠かせません。家事や育児の負担が女性に偏る構造も変わっていません。

(2025年1月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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