女性の就業者数や就労年数が増え、女性の健康は企業の経営課題としても重要度を増しています。経済産業省の2024年の試算では、月経に伴う症状や更年期症状など女性特有の健康課題による経済損失は年間約3.4兆円に達するとされています。男性特有の健康課題(更年期症状や前立腺がん)の約1.2兆円を大きく上回っています。
国立成育医療研究センターに女性の健康に特化した日本初の女性の健康総合センターが、オープンして10月で1年を迎えます。国を挙げて女性医療の機運を高め、男女双方が利する性差医療の発展につなげることが期待されています。女性のライフコースや性差を意識した医療の提供は国際的にも重視されており、身体・心理・社会的アプローチを取り入れて取り組んでいます。
8月に立ち上げた思春期月経外来は、生まれつきの体質や後天的な理由でホルモン分泌が十分でない女性に起こる無月経や初経遅延などを専門的に診ています。月経の問題が主訴の患者に潜む、他の疾患の発見につながる可能性もあります。
(2025年9月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)