大学が女性教員を増やす取り組みが成果を出し始めています。大規模な学内保育所を設けたり、女性に限定して教員を公募したりして、研究の継続と研究者の定着を促しています。支援制度の利用者による研究の実績も上がっています。研究者の世界では、40歳までの実績がその後のキャリアに大きく影響します。女性研究者が出産すると、育児の分研究に充てる時間が少なくなりがちであり、育児中の女性を支える取り組みも用意されています。
文部科学省によれば、全国の大学教員の女性比率は24.8%です。しかし、国立大学に絞ると16.7%にとどまっています。私立大学に比べて、理系の学部が多いためとされています。2001年の7.6%からは大幅に増えていますが、依然として低率のままです。創造的な研究には研究者の多様性が欠かせません。優秀な女性の流出を防ぐためにも、ロールモデルを増やし、女性がいるのが当たり前の状況をつくることが大切です。研究者の層が厚くなる、指導を受けた学生らのキャリアが継続することでより多くの業績が見込めます。
(2019年6月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)