起業家の女性比率が全国的に高まっています。創業前の融資先に占める女性起業家の割合でみると、2022年度上半期は全国で27.8%でした。2019年度以前は24%台で推移していましたが、2021年度が28.1%と急上昇しました。2022年度も高水準が続いています。
都道府県別では、2022年度上半期で最も高いのは福島県の44.2%でした。徳島県の42.9%、香川県の40.6%、宮崎県の40.2%と続き、計4県が40%以上に達しています。最も低いのは滋賀県で20.0%と、上位の半分以下にとどまっています。下位は大都市近郊が目立ちます。
地域差を分析すると、女性起業家比率が高い都道府県ほど、女性の賃金水準は低い傾向にあります。2021年の月給と賞与などから女性の平均年収を都道府県別に算出すると、女性起業家比率が40%を超える4県で、女性の平均年収は338万円でした。30~39%の22県は345万円、20~29%の20都道府県は371万円です。女性起業家の比率が低まるほど、平均年収は高くなっています。
女性が創業する業種は、サービス業が4割を占め、ネイルサロンやヘアエクステンションなど身近な業態も目立っています。女性が地方で仕事を探す際に起業は、重要な選択肢の一つになっています。子育てしながら仕事がしやすい職場がなければ、自分でつくれば良いといった意欲ある女性を、いかに地域の活力に取り込むか、自治体側も創意工夫が問われます。
(2022年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)