妊娠のための教育講座Ⅳセックスレス

 

セックスレスは、日本性科学会定義によれば、病気や単身赴任など特別の事情がないにも関わらず、カップルの性的行為(性交に限定せず)が1カ月以上ない状態を指します。それ自体が異常とはいえませんが、少なくとも一方がその状態に不満や苦痛を感じる、あるいは性機能障害があって2人の関係性に問題が生じている場合は、治療が必要となる場合があります。近年、セックスレスになるカップルや夫婦の数が年々増加傾向にあり、一種の社会問題とまでいわれるようになってきています。
 セックスレスの主な原因は、仕事や育児の疲労やストレス、精力の減退、不妊体質、性的なことに対する抵抗や環境の変化などであるといわれています。セックスレスはこれらの原因が複雑に絡みあって起こるため、何が原因でセックスレスになってしまったのかが分からないという方がほとんどなのです。しかも一度セックスレスになってしまうと元の状態に戻ることは難しく、多くの夫婦やカップルがセックスレスが原因で別れてしまっているのです。事実、最近の離婚の原因の上位には必ずセックスレスが入っているのです。どうして自分が性的な行為に対して抵抗を持ってしまっているのかを、もう一度考え直し、どうしたらその抵抗を払拭することができるのかパートーナーと話し合ってみることが大切です。また産婦人科や泌尿器科でカウンセリングを受けることも大切です。

 結婚して数年経過しているのに子どもができないと、不妊を訴えて来院されるカップルがよくみられます。話を聞いてみると結婚以来、ほとんど性交渉がない場合があります。こうしたカップルでは、きっかけがないためセックスをはじめることはなかなかできません。男性がインポテンツであれば、泌尿器科で勃起不全治療剤を処方してもらうことも必要となります。セックスレスであっても射精は可能であることが多く、妊娠を希望するカップルであれば人工授精をすることにより妊娠することができます。いずれにしてもどうしてもセックスをしなければと焦れば焦るほどできなくなります。無理は禁物です。セックスレスは心的要因が強く、不安が解消されるのを待つことが大切です。パートナーとコミュニケーションを深め、状況を理解してもらうことが必要となります。

(吉村 やすのり)

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