20~40代で乳がんになる女性は年間2万人であり、妊娠中に乳がんが発見される人も増えてきている。乳がんは手術療法が主体となるが、術後抗がん剤治療が必要となることが多い。一般臨床上抗がん剤投与は、胎児への影響を考慮し、妊娠中禁忌であるとされており、妊娠中に使用できる、使用できるとすれば妊娠何か月から使用できるのかが問題となる。現在悪性腫瘍の合併妊娠では、妊娠5カ月(20週)以降必要と判断される場合は、抗がん剤の投与を検討して良いことになっている。
聖路加国際病院の報告では、妊娠5カ月以降に乳がんの治療にて34人に抗がん剤を使用したが、これまで子どもに障害や異常が確認されてないという。これらの結果を7月11日の日本乳癌学会で発表する予定である。妊娠中期に抗がん剤治療が必要であると診断された卵巣がんの場合にも、妊娠を継続したまま抗がん剤治療を行い、胎児が体外での生活が可能な時期になるまで待機し、帝王切開にて胎児を娩出させ、手術による根治術を行うとされている。
(吉村 やすのり)