妊娠中のマウスが鉄分不足になると、胎児の精巣形成が阻害され、雄化を妨げることを大阪大学の研究グループが解明しました。性染色体だけでなく、母体の栄養状態も胎児の性決定に影響を与える可能性を示す研究結果です。論文は英科学誌Natureに掲載されました。
生物の性別は通常、染色体によって決まり、XY染色体を持つと雄、XX染色体を持つと雌になります。雄になるためには、Y染色体上にあるSryという遺伝子が胎児期の特定の時期に働く必要があります。このSry遺伝子が正常に働くためには、細胞内で特定の化学反応が起こる必要があり、その反応には鉄が不可欠であることが今回の研究で明らかになりました。

(2025年6月5日 時事ドットコム)
(吉村 やすのり)