妊婦や授乳中の女性が病気になっても安心して薬で治療できる環境が広がってきています。これまで妊婦が飲んではいけない禁忌とされてきた3種類の免疫抑制剤が、一定の安全性を確認できたとして、医師の判断があれば使えるようになってきています。精神疾患を抱える妊産婦が飲める薬を処方する医師も増えてきています。妊産婦は薬はダメなのではと思いがちだですが、使用できる薬は意外とあります。
厚生労働は、2018年6月にタクロリムスとアザチオプリン、シクロスポリンという3種の免疫抑制剤について、それまで禁忌としていた妊婦への投与を認めることを決めました。通常、妊娠や授乳中の女性に薬が使えるかどうかは、臨床試験のデータが乏しく確認が困難です。そのため製薬会社は多くの薬を禁忌としており、持病がある女性が出産をあきらめるなどのケースもあります。タクロリムスなどは、使用実績に基づき一定の安全性が確認されましたが、解禁の判断には妊娠と薬情報センターの研究が反映されています。母子へのメリットが危険性を上回る場合は、安全性を担保したうえで薬を使って良いと思われます。
(2019年2月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)