結婚していない男女の間に生まれた子どもである婚外子は、遺産相続の取り分を婚内子の半分とする民法の規定がある。昨年6月最高裁は、この規定を憲法違反と判断している。武蔵野市議会は、婚外子差別をなくす戸籍法の改正を国に要望するよう求めた陳情を本会議で採択した。地方自治体としては初めての決断である。
現在、わが国における婚外子は、20歳未満であっても20万人いると推定されている。50%前後を占める欧米に比べ、わが国の婚外子の割合は、2%以下と極めて低い。わが国の女性は、結婚しないと子どもを生まない状況にある。これには、婚外子に対する社会の目や法的な不利益などが大きく関与している。少子化の危機を突破するためには、こうした婚外子に対するきめ細やかな配慮が必要となる。
(2014年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)