婚姻数の減少

婚姻数の減少が止まりません。2023年は90年ぶりに50万組を割る見通しです。新型コロナウイルス禍による出会いの減少に加え、経済的な理由から若者が結婚に踏み切れません。政府は、少子化対策の拡充を盛り込んだ関連法案を閣議決定しましたが、若者の将来不安の払拭に向けた道筋は不透明なままです。
婚姻数が50万人を割れば、1933年以来90年ぶりです。1933年の日本国内の人口はおよそ半分の6,700万人程度で、同時期の初婚年齢は25歳ほどと、今よりおよそ5歳若くなっています。2020年時点で30%近くの男性の生涯未婚率も、当時は2%以下でした。結婚を希望しても踏み切れない結婚氷河期の背景にあるのは、若年層の不安定な雇用とそれに伴う所得の低下です。
連合の2022年調査によれば、学校を出て初めて就いた仕事が正規の女性のうち、子どもがいる人は57.7%だったのに対して、非正規では33.2%にとどまっています。配偶者がいる人は、正規で63.6%、非正規で34.1%でした。2022年の総務省調査では、年収が低い男性ほど生涯未婚率が高くなっています。日本は、婚姻関係にある夫婦の嫡出子が出生数全体の98%程度を占める特徴があり、婚姻数の増減は出生数に直結します。

(2024年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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