5~11歳を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が、3月から多くの自治体で始まっています。オミクロン株が猛威を振るう第6波で子どもの患者が激増し、重症化する例が出てきています。厚生労働省によれば、15日までの1週間で、10歳未満の約7万3千人が感染しています。全体の20%を占め、年代別で最も割合が多くなっています。ワクチン接種が進んだ12歳以上と比べ、感染の広がりが目立ちます。
米国からは、12歳以上に比べてワクチンの効果が低いとの研究報告も出ています。米疾病対策センターの多施設による共同研究によれば、2回接種後、14~82日のオミクロン株に対する感染予防効果は31%で、12~15歳の59%よりも低いとされています。接種後3カ月足らずで効果が落ちてしまっています。しかし、効果はゼロではなく、一定の免疫はできるとされており、子ども本人や同居する家族に基礎疾患がある場合や家庭や保育園、学校での感染リスクを少しでも減らしたい場合には、ワクチン接種を検討すべきです。
2月時点では重症化を防ぐ効果やオミクロン株に対する効き目がはっきりしていなかったため、ワクチンを打つように努める予防接種法上の努力義務は保護者に課せられていません。12歳以上と比べ、副反応の頻度は低く抑えられています。
(2022年3月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)