子どもの医療費はもともと、就学前なら2割、小学生からは3割を自己負担するのが原則です。医療費補助は、子どもの医療費について、自己負担の一部または全部を地方自治体が補助する仕組みです。経済的な理由で病院に行けない子どもがなくなるなどの利点がある半面、自治体の財政負担が重くなります。全国で拡大していますが、自治体間の子育て世帯の奪い合いを助長する面もあります。
全国の地方自治体が、子どもの医療費補助の対象を広げています。中学生で助成する市町村長が、2014年に930カ所と前年から99カ所増えて初めて全体の5割を超えました。高校生までとする自治体も全体の1割を超えました。子育て世帯を呼び込みたい自治体が補助を競っているのが現状です。自己負担が少なくなると、不必要な受診が増えて医療費が膨らむと懸念する声もあります。
(2015年8月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)