子どもの施設での事故の増加

静岡県の認定こども園に通う女児が通園バスに取り残されて死亡した事件で、子どもが通う施設の安全性が確保されていない実態が改めて浮き彫りになっています。内閣府の調査によれば、2021年に子どもの施設(幼稚園、保育所、こども園など)で起きた重大事故は1,872件、そのうち死亡が5件で、前年より286件増えています。2016年の587件から、5年で3倍以上増えています。

背景には、新しい保育施設、経験の少ない職員の増加などがあります。国は事故を防ぐためのガイドラインをつくるなど自治体に注意喚起していますが、取り組みには自治体ごとに濃淡があります。バス置き去りだけでなく、昼寝中の窒息や誤飲、散歩中の置き去りなど多岐にわたる事故で、施設側の安全対策の強化は欠かせません。個別の法整備のみならず、対策が実際に実施されているのかのチエック機能の強化です。
通知や規制も実際にそれが実行されなければ意味がありません。施設が増え、幼稚園や保育所が選べる時代になってきた一方、質の議論は置き去りになっています。施設の安全性を評価する体制の整備や、親自身が安全かどうかを判断できる情報の提供が行政に求められます。

(2022年9月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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