目の中に入った光は、角膜、水晶体で屈折し、網膜で像を結びます。近視では、遠くを見た時に、網膜の手前でピントが合い、ぼやけてしまいます。近視になるかどうかは、角膜、水晶体の屈折力、角膜の頂点から網膜までの奥行き(眼軸長)の関係で決まります。 子どもの近視の多くは、眼軸長が伸び過ぎることが原因です。眼球は体の成長に伴い大きくなるため、眼軸長は一般的に13歳ごろまで伸びます。日本人の眼軸長の平均は成人で24ミリですが、これを上回るほど伸びると、屈折力とのバランスが崩れ、網膜の手前でピントが合うようになり、近視になります。
2019年度の文部科学省の学校保健統計調査によれば、裸眼視力が1.0未満の小学生は、34.57%にも達しています。調査を開始した40年前の2倍です。0.3未満も9.38%と全体の1割を占めています。子どもの近視の増加は、スマホやゲーム機などを凝視する時間が増えた影響とも考えられ、それと眼軸長の過剰な伸びとの間には何らかの関連があるとされています。
眼軸長の伸びを抑えるためには、物を見る時に近すぎない、長すぎないの二つを心掛けることが大切です。スマホやゲーム、勉強や読書をする時は、15分に2〜3分は目を休めることが必要です。近くで見る作業を長時間続けると、毛様体筋が過度に緊張し、一時的に遠くのものがぼやけて見える仮性近視の状態になります。これを長く放置すると、近視になります。学校で黒板に書かれた字が見えづらくなったら、眼鏡をかけるタイミングです。
(2020年6月12日 中日新聞)
(吉村 やすのり)