子どもの貧因による社会的損失

 日本財団が子どもの貧因による社会的損失について試算をしています。子どもの貧因の対策をとらなかった場合、税収面などの社会的損失の影響を都道府県別に試算されています。昨年12月に公表した推計では、201310月に15歳だった子どもの貧因対策をとらないと、その子どもの生涯所得は合計2.9兆円減り、税金や社会保険料など政府の収入も1.1兆円減るとしています。生活保護を受給できる基準以下の収入で暮らす子育て世帯の割合も考慮して都道府県別に示すと、沖縄県で最も社会的損失が多いという結果になっています。
 さらに保育所の運営や児童手当といった子育て施策に自治体が13年度中に支出した額を15歳未満の子ども1人当たりで計算すると、最多は社会的損失の影響が34位の東京66万2千円で、同40位の島根58万円が続いています。一方、影響が最も大きい沖縄は44万1千円で、4位の北海道や5位の奈良は30万台にとどまっています。影響が大きい自治体ほど子ども1人当たりに多くのお金がかかるはずですが、影響と1人当たりの支出に関連は見られていません。これは自治体の財源に依存されると考えられ、地域ごとの実態を把握し、国としても子育て施策への支出を増やすことを考えるべきです。

(2016年3月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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