子どもの近視の増加

 京都大学の研究グループによれば、近視と診断された0~14歳児は約550万人で、有病率は36.8%に達しています。近視の有病率は年齢とともに蓄積していき、14歳では83.2%まで上がっています。性別で見ると、女児の有病率が男児より高い傾向でした。

 年齢ごとの近視の新規発症率は8歳が最も高く、2020年では1万人あたり911人です。3~8歳の各年齢での発症率は2014年から2020年にかけて増加傾向にあります。3~8歳で近視の若年化が進んだ結果、発症済みが多くなった10~14歳での発症率は、逆に経年的に減少傾向が見られています。強度近視の有病率は10~14歳で0.46%です。発症率は5~9歳、10~14歳のいずれの年代でも年々増加していました。

 近視の原因としては、7割が遺伝的要因で3割が生活習慣など環境要因とみられてきました。子どもたちの生活の中で屋外での遊びが減る一方、デジタル機器を使ったゲームや勉強などの手元の作業が増えた結果、近視になるのが若年化した可能性があります。近視は、世界的に特に東アジアで増えています。過度の近視は、緑内障や網膜剝離など他の目の病気のリスクとなることがあり、近視の発症を予防したり遅らせたりすることが課題になっています。

 昨年末に近視の進行を抑制する目薬が国内で初めて薬事承認されています。網膜や強膜に作用して、強膜が薄くなるのを邪魔することで眼軸が延びるのを抑え、近視の進行を抑制するとされています。屋外活動の時間を増やすことで、3年後には近視発症率が9.3ポイント低く、予防につながる可能性は高いことも確認されています。

(2025年3月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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