子どもを持つ意欲の急減

2022年の合計特殊出生率が1.26と過去最低を更新しました。出産と結びつきの強い婚姻数がコロナ禍で落ち込んでいる影響が大きく表れた形です。子育ての負担を懸念して、子どもを持たない考えが急速に広がっており、若い世代の雇用を安定させ、収入増につなげる支援策が必須です。
国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2021年)によれば、独身者(18~34歳)のうち、結婚したら子どもを持つべきだと考える女性は36.6%、男性は55.0%で、前回2015年調査からそれぞれ急減しています。1992年の男女は、8割以上が子どもを持ちたいと考えていました。若い世代の出生意欲が想像以上に低下しています。経済的な理由で、結婚しても子どもはいらない、少なくてもいいと考える人が増えています。婚姻数が回復すれば、出生率も上がるかというとかなり厳しい状況です。
低出生率が常態化すると、出産のできる病院や幼稚園など子育てに不可欠な社会インフラが維持できなくなります。子どもが少ないことが当たり前の社会となることが、人々の意識に影響して、出産への意欲を低下させ、少子化が加速する低出生率の罠に陥ります。人口減少が進む中、安心して出産や子育てができる環境の維持が難しくなる地域の増加が懸念されます。低出生率の罠を脱するには、若者の意識を変えることが最重要課題です。

(2023年6月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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