今年の4月より、子ども・子育て支援新制度が導入されました。都市部の保育所の待機児童対策では。0~2歳児が対象で定員6~19人の小規模保育所が新たに認可施設として活用されることになっています。また、幼稚園と保育所の機能を一本化した認定こども園の普及も盛り込まれているほか、事業所内保育所を従業員だけでなく、地域の住民も利用できるようにする取り組みも始まっています。 この支援新制度が始まり半年が経過しました。首都圏は保育所開設ラッシュですが、待機児童はなかなか減りません。それどころか供給拡大が急がれるあまり、保育所の質が低下しているとの指摘もあります。保育所を増やすと子どもを設けて働こうとする人も増え、結局待機児童が出てしまいます。土地の取得が難しい都市部での待機児童の切り札と期待された小規模保育所も、狙い通りの効果を上げるには至っていません。供給拡大が進む中、今後は保育の質も問われることになります。都会における待機児童の問題が解決できない限り、大都市の出生率の改善は望まれません。
(2015年10月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)