子宮頸がんの1次予防
子宮頸がんの予防ワクチンは、現在130カ国以上で販売されており、さらに2016年1月時点で65カ国において国の接種プログラムが実施されています。現在国内で承認されているのは2種類のワクチンで、予防効果は60~70%とされます。標準的な接種対象年齢は12~16歳で、いわゆるセクシャルデビューの前に抗体を作ることで感染を防ぐというものです。
日本では2010年に接種が開始され、2013年度からは定期接種となったものの、ワクチン接種の後の副反応報道をきっかけに、わずか2カ月後の6月には接種の積極勧奨の一時差し控えの通知が出される事態となり、残念ながら現在、接種はほぼ停止状態にあります。しかしこの間にも、国内外で数多くの研究が行われ、ワクチンの有効性と安全性を示す科学的なエビデンスが多数示されています。こうした状況に対し、日本産科婦人科学会は、HPVワクチンをめぐる議論に関する声明を数回発しています。
(よぼう医学2018 autumn)
(吉村 やすのり)