子宮頸がんとHPVワクチン―Ⅴ

HPVワクチンの有効性
2価ワクチン、4価ワクチンとも発売前のそれぞれの大規模な臨床試験において、未感染者においては HPV16/18 型の感染をほぼ 100%予防し、HPV16/18型による前がん病変(CIN2 および CIN3)の発生をほぼ 100%予防することが明らかにされています。欧米の多くの国々では、2006 年〜2008 年に 9〜13 歳の女児を対象とした HPV ワクチンの定期接種プログラムが開始されました。また、オーストラリア・米国などでは男児への定期接種も開始されています。
HPV ワクチン接種を公費助成による国のプログラムとして早期に取り入れたオーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、すでにワクチン接種世代において標的とする型の HPV(16 型・18 型)の感染率の劇的な減少が示されています。
HPV ワクチン接種プログラムを導入し、接種率が 70%を超えるこれらの国では、プログラム開始から 7〜8 年以上が経過し、導入以前のワクチン未接種世代と比較して、接種世代における子宮頸がんの前がん病変である中等度異形成(CIN2)・高度異形成(CIN3)・上皮内腺がん(AIS)の発生が半数程度まで有意に低下していることが報告されています(図6)。子宮頸がんは必ず前がん病変を経て浸潤がんへと進展していくことから、数年後〜十余年後には、これらの国々においては、子宮頸がんそのものが大幅に減少すると推測されています。

(「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」 日本産科婦人科学会)
(吉村 やすのり)

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