日本産科婦人科学会は、頻度は少ないが実際に様々な症状で苦しんでおられる方の診療体制の早急な整備を構築した上での接種勧奨の再開を要望してきました。実際に、本年4月までに都道府県医師会および厚生労働省に協力し、全国47都道府県における協力医療機関の設置を完了し、全国どこにおいても地域の協力医療機関が窓口となり、さらには高次専門医療機関(27施設)への紹介体制を含め、HPVワクチン接種後の症状に困っておられる方への診療体制が整いました。また特筆すべきこととして、本年8月19日に、日本医師会・日本医学会より『HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き』が発刊され、接種医や地域の医療機関においての、問診・診察・治療を含む初期対応のポイントやリハビリテーションを含めた日常生活の支援、家族・学校との連携の重要性についても明記されました。これらの診療体制および手引きの両者が整備されたことは、接種希望者がより安心してワクチン接種を受けられる環境が整ってきたと言えます。
(吉村 やすのり)