国立成育医療センターの研究によれば、保湿剤によるスキンケアは乾燥を防ぐだけではなく、アトピー性皮膚炎の予防にもつながることが分かっています。生後1週間から1日1回保湿剤を塗るようにしたところ、塗ってない赤ちゃんより、アトピー性皮膚炎を30~50%起こしにくくなったそうです。保湿剤には、保湿クリームやローション、ワセリンなど様々ありますが、どの種類を選ぶかよりも、塗る頻度を1日2回にすることで効果を高められるそうです。
また、赤ちゃんが泣いてすぐに抱っこすると抱き癖がつき、甘えた子になると言われたことがありました。しかし、抱かれた赤ちゃんは愛情を感じ、将来の自立心につながるので、現在では、抱っこしすぎることの弊害はないと考えられています。逆に泣いている赤ちゃんにかまわないと、感情表現しないサイレントベビーになると言われたこともありました。しかし、はっきりとした科学的根拠はありません。
赤ちゃんは母乳で育てるべきだという考え方も根強くあります。確かに、免疫が未熟な赤ちゃんにとって、母乳は感染症予防に役立つ成分が含まれていたり、母親にも子宮の回復や体重減少を助けたりするメリットがあります。しかし、粉ミルクで育った人が比較的多い30~40代で、健康上の問題が多いわけではありません。粉ミルクでも赤ちゃんの健康に影響はありません。もともと母乳の出にくい人はいます。母乳が出ないからといって、母親失格などと悩む必要は全くありません。
(2018年3月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)