4月から子育て世帯への給付が手厚くなります。これまでの育児休業給付金に上乗せする形での給付制度が新設されます。両親ともに育休を取得する条件で、父母それぞれ28日間は従来の給付率に13%上乗せし、手取りの収入が減らないようにします。配偶者がフリーランスなどで雇用保険に加入していない場合でも、本人が14日以上取得すれば給付率を引き上げします。ひとり親の場合も同様です。
育休給付の給付率は、1995年の制度創設時の25%から徐々に拡充されてきましたが、男性の育休取得が進まない背景に収入減への不安があります。厚生労働省の2022年度調査によれば、男性正社員が育休を取らなかった理由は、収入を減らしたくなかったからが約4割でトップでした。育休取得を進めるためには、取得者に代わる人手確保も課題となります。厚生労働省の2021年度調査によれば、代替要員の補充が行わず、同じ部門の他の社員で対応した職場が8割に上っています。
育児のために時短勤務する人には、時短中の給料の1割を給付する制度も新設します。2歳未満の子を育て、収入が下がった人が対象になります。育児中の収入減を補填することで、子育てと仕事を両立しやすい環境整備につなげます。
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(2025年2月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)