日本の社会保障は年金や介護などの高齢者に手厚く、子どもや子育て支援など現役世代には薄い。日本経済はやや上向き傾向にあるが、骨太の方針の中で人口減少に歯止めをかけるという将来を見据えた方針が出されたことは評価できる。しかし、そのためにはそうとうな覚悟が必要となる。年間100兆円を越す社会保障費のほとんどは高齢者に充てられている。この高齢者のための社会保障給付額は年々増大しており、超高齢者の下で財政赤字の根源となっており、今後も財政を圧迫し続けるであろう。
このような現状で、子育て支援を充実させるためには、高齢者に対する給付をスリム化しるしかない。少子化に伴い労働人口が減少する中で、平均寿命が延びて年金を受け取る高齢者が増えれば、年金制度が破綻するのは自明の理である。人口減少に歯止めをかけるという目標には、誰もが賛成するが、そのためには国民全体の相当な痛みを分かち合うことが必要となる。
(吉村 やすのり)