文部科学省は、新型コロナウイルスワクチンを12歳以上の中学高校などの生徒に学校で集団接種することについて、現時点で推奨しないとする通知を各都道府県などに出しました。個別接種が難しいなどの理由で実施が必要な場合は、接種の有無によるいじめや差別が起きないように相談窓口を設けることや、接種を行事参加の条件にしないことなどを求めています。
理由として、保護者への説明機会が乏しくなる、個々人の意向が必ずしも尊重されず同調圧力を生みがち、接種後の体調不良に対するきめ細かな対応が難しいなどを挙げています。学校での集団接種は、受ける人と受けない人の差別化につながり、いじめにつながることも心配されます。希望する子どもは、親の同意のもとで個別接種を進めていく方針です。12~15歳の接種で使われるワクチンは、現時点でファイザー社製です。16歳以上と同じで、1回0.3㎖を計2回、通常は3週間の間隔で筋肉注射します。16歳未満の接種は、原則保護者の同意が必要で、小学生は保護者同伴が必要となります。
日本小児科学会は、子どもへの感染源になりうる周囲の大人がまず接種を済ませることが重要としています。その上で、重い基礎疾患がある子どもへの接種は重症化予防の効果があります。健康な子どもの場合も、重症化しやすい高齢者と同居していたり、極めて稀に子どもでも重症化したりする場合もあり、接種の意義はあるとしています。
(2021年6月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)