経済的理由などで生理用品を買えない生理の貧困問題が新型コロナウイルス禍を機に表面化しており、女性向けの生理用品を学校のトイレや役所の窓口に常備する動きが広がっています。東京都は、5月から都立高校7校で試行した後、9月から全ての都立高校など約250校で配置し始めました。予備のトイレットペーパーと同じように、生理用品を入れた箱を洗面台の脇に置くことにしています。
生理の貧困は、コロナ禍で経済的に苦しくなった女性が訴えて問題が表面化しました。これをきっかけに支援の輪が広がり、内閣府によると、無償配布を実施したり検討したりしている自治体は、5月時点で約250でしたが、7月時点で約580に増えています。
生理の貧困を招いた一因としては、生理や性に関して人前で話すことへのタブー視が挙げられます。自治体の生理用品の無償配布は、使用期限が迫った防災備蓄を配る緊急的な措置も多く、継続支援のあり方が今後の課題となります。女性は生理がある約40年間、生理用品の購入費を負担しなければなりません。生理用品を軽減税率の対象にするなど、国が大胆に制度設計を変更し、社会全体の意識を変えるよう促すことも大切です。
(2021年11月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)