学校給食の無償化

 学校給食の無償化は、近年各地の市区町村が独自に採り入れています。文部科学省によれば、全自治体の4割にあたる何らかの形で給食無償化を始めています。多くは子育て支援の一環です。

 全国での円滑な実施には課題があります。一つは費用です。公立校では、材料費を給食費として保護者が負担しています。その平均月額は小学校で4,688円、中学で5,367円です。そして地域別で違いがあり、中学では最高の富山県と最低の滋賀県で約1,800円の差があります。

 給食の形態にも違いがあります。文部科学省によれば、主食、おかず、牛乳が揃った給食の実施率は小学校で98.8%、中学で89.8%です。中学は、公立で97.1%に上る一方、国立は20.6%、私立は8.2%と、設置者によって大きな差がみられます。小中学校の給食は、学校給食法によって努力義務とされています。主食の提供がなく、家庭から持参している小中学生は全国で6,340人(0.07%)です。主食、おかず、牛乳が揃った給食を提供している公立小中学校でも、アレルギーや不登校などの理由で、約27万5千人が給食を食べていません。  給食無償化は不公平にならない制度設計が必要です。全ての小中学生に、弁当提供も含む主食、おかず、牛乳が揃った給食を実施するには、材料費だけで約5千億円が追加でかかると試算されています。給食費を国から自治体に交付する方法の場合、給食を食べていない子にも別途、個別に支給するなどの対応が必要になります。児童手当のような個人支給の場合、自治体側が保護者から給食費を徴収することになります。学校現場に負担を増やさない運用が望まれます。

(2025年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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