世界では、経営の第一線やデジタル分野では高度な知識や技能の証明が求められ、修士・博士号の取得が加速しています。主な国では過去10年で博士号の取得者が急増しています。しかし対照的に、日本は1割以上減少しています。
科学技術・学術政策研究所によると、米国や中国では、2016年度までの10年間に博士号取得者が2割超増えています。修士号でも傾向は同じです。企業などで上級ポストを射止めるには、高い学位が必要になります。一方、日本の博士号取得者は、2016年度に1万5,000人と10年間で16%減っています。この間に4年制大学の入学者は一貫して増えています。学生が専門課程への進学をためらい、日本は世界の中で相対的な低学歴化に沈んでいます。
米国では、博士の4割が企業で働き、イノベーションの原動力になっています。日本では、社会に出ても稼げないため、博士号を保持する研究者の75%が大学などに所属しています。高学歴者に高収入で報いるのは、世界の常識です。グローバル人材評価基準から日本市場は隔絶されています。
(2019年12月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)