トランプ米政権は27日、大学留学などに必要な学生ビザ取得のための面接の新規予約を一時停止しています。反ユダヤ主義と見なす動きの取り締まりを強化する中、ビザ申請者によるSNSへの投稿履歴の審査を拡大するためだとしています。ビザ発給が遅れ、日本の留学希望者にも影響する可能性があります。
対象となるのは一般学生向けのFビザ、職業訓練プログラムを受講する学生用のMビザ、交流訪問者向けのJビザです。米国務省によれば、2023会計年度発行のF1ビザは約44万5千件、J1は約31万7千件、M1は約6千件でした。新学年が始まる9月に合わせ、これからビザ取得手続きを進める学生も多いとみられます。トランプ氏が大統領に就任した1月から3月までに発給された学生ビザは2万9,000件と、前年比1割以上減っています。

大学は米国のイノベーションの源泉で留学生は経済や科学技術の発展に寄与してきました。留学生は科学と最先端研究の拠点としての米国を支えてきました。留学生が米国の強さの一翼を担ってきたとも言えます。2023~2024年の国別留学生数で1位、2位を占めるのはインドと中国で、多くがSTEM(科学・技術・工学・数学)分野を専攻しています。留学生が大学院生の70%を占める分野もあり、スタートアップ立ち上げに関わるなど経済を活性化させてきています。

留学生は多額の学費を負担することで大学の運営に貢献するだけでなく、居住や買い物などで地域経済も潤しています。国際教育者協会の推計によれば、2023~2024年に留学生がもたらした経済効果は438億ドル(約6兆3千億円)に上り、37万人以上の雇用を支えています。
(2025年5月29日 日本経済新聞、東京新聞)
(吉村 やすのり)