学童保育の運営主体

学童保育とは、日中保護者が家庭にいない小学生の児童に、授業終了後に適切な遊び場や生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業です。この学童保育に住む場所や通える施設によって、保護者の負担感の違いが目立ってきています。保護者自らスタッフのように日々の業務を担ったり、物件探しに関わったりせざるを得ないケースもあり、地域による学童格差につながっています。
学童と一口に言っても、市区町村が設置・運営するところや社会福祉協議会やNPO法人に委託した例、保護者有志で設立して続けているもの、民間企業が主導した施設など、運営する主体や地域によってさまざまなです。個々の施設によって方針も変わっています。こうした違いが保護者の負担感の差として表れてきます。
学童保育に対しては、政府も自治体の施設整備に補助金を出すなどして後押ししてきました。しかし働く保護者の増加で高まる需要には追いついていないのが実情です。こども家庭庁によると、学童を希望通り利用できない待機児童は、全国で1万6,825人に達しており、前年に比べて1,600人超増えています。
背景には運営に関わる人手の不足もあります。放課後の時間帯のみの勤務になり、パート・アルバイトが中心になりますが、人材を十分確保するのは困難です。年収が一定額を超えると社会保険料や税金で手取りが減る、いわゆる年収の壁も影響しています。時給が上がるたびに、働き控えでシフト調整が難しくなります。

(2023年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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