政府は、2013年4月から30歳未満の孫や子に対し、1人につき最大1,500万円の教育資金を非課税で一括贈与できるしくみをつくっています。もともとは時限措置でしたが、来年3月31日まで延長されています。制度を使うにはまず、祖父母が孫の名義の金融機関の口座に教育資金をまとめて拠出します。口座からお金を引き出す時は、そのお金を教育資金に充てたことを示す領収書を一定期間内に金融機関に提出します。
対象となる教育資金の範囲は、文部科学省が細かく定めています。入学金や授業料、施設整備費、行事の費用など、学校に直接支払うお金は対象になります。保育園の保育料も対象ですが、認可外保育施設の場合は注意が必要です。施設が自治体からの指導監督基準を満たす証明書の交付を受けていない場合、その保育料は対象になりません。学習塾や習い事の月謝や入会金、施設使用料など、学校外への支払いも対象になります。また、学校外への支払いにあてられるのは500万円までで、23歳以降は習い事には使えなくなります。孫が30歳に達した時点で口座にお金が残っていると、その分に贈与税がかかります。
文部科学省の2018年度調査によれば、小学校から高校まで全て公立校に進学した場合、子ども1人にかかる教育費の平均は約480万円です。授業に必要な学用品、部活動、給食費など、学校生活に直接関わる費用は200万円ほどですが、学習塾や家庭教師などの補助学習費に170万円、スポーツやピアノなどの習い事などに110万円ほどかかります。一方、12年間全て私立の学校に通うと教育費は約1,670万円に跳ね上がります。うち、学校生活にかかる費用は1,110万円です。4年制大学に進学した場合の入学金や学費、家庭での学習費は国公立なら計500万円ほどで、私立文系は720万円、私立理系は820万円と高くなります。
(2020年6月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)