家族関係社会支出とは、国や地方自治体などが家族を支援するために支出する現金給付とサービスの総計のことをいいます。児童手当や育児・介護休業給付などが含まれます。国民負担率などの違いもあり、単純に比較できませんが、日本の対GDP比は2016年度1.29%に過ぎません。2013年度1.14%から年々上昇していますが、欧州諸国より低い水準です。
少子高齢化と生産年齢人口の減少が進む中、女性の就労者を増やしたいという方向性は評価されます。女性の就労の場は確実に増えており、共働きの割合も上昇しています。しかし、わが国は女性の就業率と出生率を同時に上昇させなければならない状況に置かれています。子どもを丸1日預けられる保育所の整備はもちろん重要ですが、保護者のニーズに応える多様な保育の受け皿を作ることも必要です。結局、女性活躍のためには、長時間労働が当たり前だった男性の働き方を改革していくことが不可欠となります。
(2019年1月20日 読売新聞)
(吉村 やすのり)