小中学生の不登校は、2013年度から11年連続で増加し2023年度は34万人を超えました。新型コロナウイルス禍で急増した印象が強いのですが、増加はそれ以前から始まっています。不登校児童生徒の直近の増加率は小学校低学年が中学校を上回っています。中3はこの11年間で2.2倍に増えたのに対し、小1は9.7倍に増えています。
主たる要因の第1は教員の世代交代です。教員の採用数は人口増減に連動し、年齢構成に凹凸ができます。1980年代、第2次ベビーブーム世代が就学・進学するタイミングで大量採用された教員が、2010年代半ば以降続々と定年退職を迎えました。40代後半から50歳前後の層が薄くなり、20~30代の若手が一気に増えました。
第2は教員不足の深刻化です。全日本教職員組合の調査によれば、2024年5月時点の教員未配置は4千人を超え、現場教員の余力を奪い子どもの声にじっくり耳を傾けることを難しくしています。小学校の場合、特定教科の授業を担当する専科教員を確保できないと、学級担任の時間割に空き時間ができません。放課後すぐに退勤する短時間勤務適用の教員も、学級担任にならざるを得ない状況があります。教員不足が最も深刻なのが小学校です。
(2024年11月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)